真面目なブログです。
たぶん面白くないでしょう。
でも為になるので、ぜひ読んでみて下さい。
さて、まずはタイトルにある「立ち退き」ですが、最近多いのは建物の老朽化に伴う建て替えの際の「立ち退き」です。
当然、建て替える訳ですから、今住んでいる方には出て行ってもらわないと建て替えが出来ませんよね。
まあ、大家さんの都合と言えば都合です。
で、契約書を見ると、“大家さんからも6ヶ月前に言えば賃貸借契約の解約は可能”と書いてあります。
ならば、「6ヶ月後には出て行って下さいね」と言われたら「はい分かりました」と出て行かなければいけないのか。・・・というと、そうでは無いのです。
それじゃ、あまりにも入居者さんに不利益でしょ。
っつーことで、よく見ると“正当事由を以て6ヶ月前までに”という文言になってます。
“正当事由”とは何ぞや?
一見、マンションの建て替えは正当な事由っぽいですよね?
ところが、これが裁判となるとそう簡単じゃ無いんス、コレ。
分かり易く言うなら「立ち退き料」的なお金ちゃんを“建て替えるから出て行って”という天秤の皿に積んで、“じゃあ出て行きます”という相手側の天秤の皿と吊り合わせなければ認められないのです。
これが、実際の「正当事由」って考え方なのです。
勉強になるでしょ。
では、相場は?という事になるのですが、
結論から言うとケースバイケース。
居住用と事業用ではもちろん違うし、次の引っ越し先が見つかりやすいか見つかり難いかでも変わって来ます。
それまでの人間関係や滞納やクレーム、契約違反の有無なんかも左右します。
大家さんが剛腕をふるってゼロで追い出すケースから、何百万も支払うケースまで様々です。
ただ、基本的には入居者は弱者という扱いなので、交渉は大家さんに分が悪いです。
「嫌だ!!絶対に出て行かない!!」とゴネられて困るのは大家さんの方ですから。
入居者さんには『居住権』がありますからね・・。
さて、このやっかいな「立ち退き交渉」
これは本来、弁護士さんの仕事です。
我々不動産業者が報酬を貰う目的で、これをやるのは「非弁行為」といって違法行為に当たるのです。
意外でしょ?
大家さんからすると、不動産のことだし、入居者さんとも付き合いのある不動産屋さんに間に入ってもらって、穏便にまとめてもらいたいのでしょうが、ダメなのです。
それを、会ったこともない弁護士さんに高い報酬を払って、入居者さんにも身構えられて交渉をしなきゃいけないのです。
お世話になった大家さんに、そんな不義理な真似をする訳にはいかないので、実際は、かなりサポートしてあげるんですけどね。
感覚的には、住居で今の賃料の6~10ヶ月分、
事務所だと10ヶ月分~24ヶ月分くらいが、気持ちよく出て行ってもらえる金額でしょうかね・・・。
これは、あくまでも「普通借家契約」の話で、元々決められた期間で契約が終了する「定期借家契約」の場合は、入居者さんは契約終了時までに出て行かなきゃいけませんよ。
なので、お部屋を借りる人は「定期借家」には少し気をつけて下さい。
建て替えの計画がある大家さんは、早めに「定期借家」契約に切り替えておくべきですね。
矛盾している様ですが、立場が変われば正しい選択も変わるのです。
ちなみに、「普通借家」を途中で「定期借家」に変えたいと言われた時は、こういう事が想定されているので、断るか大幅な賃料の減額をしてもらいましょう。
僕は、大家さんにもそういう提案をします。
この手の話は長くなりすぎるので、ここらで一時閉幕。
では、また来週^^