さて、このブログでも何度か書いている、「退去時の敷金の返還」に関して、再度書いておこうと思います。
一応不動産屋のブログだしね。
 
他社がいったい契約時にどの程度の説明をし、退去時にどのようなジャッジをしているかは僕には分かりません。
僕も独立する前に勤めていた会社では、ガイドラインから外れた請求を入居者(借主)さんに突き付けていた感じはあります。
 
僕が自分の会社を立ち上げるにあたり、決めた信念は「まっとうに商売する」という事です。
なので賃貸不動産の専門家として、勉強した知識や経験を元に自信をもってジャッジしてます。
それは、時には大家さんからは顔をしかめられる事もあります。
でも、もし大家さんが悪しき習慣を当たり前のルールとして認識しているなら、僕らは不動産のプロとして正しいルールを伝えていかなければいけないと思います。
 
 
そのルールの基本となるのが、国土交通省で定めている「原状回復におけるガイドライン」です。
とはいえ、一般の方がその内容を見ても完全には理解できないかもしれませんね。
僕のジャッジと共に少し実例で紹介してみましょう。
 
1.ルームクリーニング費用について。(全額借主負担でもまぁ仕方なし)
→ガイドラインでは入居者は簡易清掃をして出て行けばそれで良い。
と言う事になっています。但し都内のほとんどの契約では、特約条項として専門業者によるルームクリーニング費用を借主に負担させる契約になっております。(当社もです)
この特約は裁判でも有効とされる事が多い様ですが、契約時にきちんと説明する必要があり、その費用も相場からかけ離れていると認められない場合があります。
クリーニング業者選定は不動産屋が行う事が多いです。(大家さんの依頼で)
ちなみにうちがお願いする業者さんはワンルームや1Kの間取りだと20,000~25,000円くらいです。(40,000円くらい取る管理会社も有るので要注意)
  ※エアコンの内部洗浄は喫煙者の場合のみ借主に請求します。

2.畳や襖の張り替えについて。(原則貸主負担)
→穴を開けたり破いたり落書きしている場合は1枚単位で借主負担になります。 

3.クロス(壁紙)の張り替えについて。(ケースバイケース)
→タバコも吸っておらず、故意・過失による傷や汚れなどが無ければ入居者の負担は無し。
傷や汚れが有った場合、1面単位で交換(タバコの黄ばみは全面交換になる場合多し)
但し、クロス新品の状態から入居しても6年間住んでいたらクロスの価値は1円になってしまうと考えられているので、もし4年間住んでいた部屋でクロス交換が50,000円かかったとしても、入居者の負担は3分の1(約16,666円)程度となります。
※但し、ヤニの臭いがクロスを越えてボードにまでガッチリ染みついている場合はやっかいで、ボード交換の費用を請求される場合も有るので気を付けましょう。
 
4.床の張り替えについて。(これもケ-スバイケース)
→まず、床の材質によりますね。クッションフロア(よくキッチンなどに貼られているフワフワしたビニール素材のやつ)の場合。タバコなどでコゲ跡がついちゃったりすると1面張り替えです。但しこれも6年で1円の価値なので負担割合はクロスと同じ計算方式になります。
あと、よくあるのが家具などを置いてヘコんでる場合ですね。
これは通常使用とみなすので、セーフです。
問題はフローリングの場合です。これは要注意で面倒くさいので傷付けないで頂きたい。
フローリングは建具の一部という扱いなので、建物の耐用年数が残存期間となるのですが、張り替えたばかりだったりすると大家さんも気絶しかねません。
ガイドラインによると㎡単位の交換費用の負担となるのですが、そこだけ色が変わってしまったりするとカッコ悪いので結局全面交換になる場合が多く、大家さんの損失がデカくなるので、ガイドライン通りのジャッジに対しての不満が爆発したりします。
※キャスター付きの椅子を引いて傷が付いた場合などは、ガイドラインでは借主負担     
 となってますが、裁判の判例ではセーフだったりしてます。
 
5.鍵の交換費について。(これもケースバイケース)
→まずは入居時に鍵の交換費を取られているかどうかですね。そもそも鍵の交換というものは大家さん側が行うことなので、入居者に強制的に払わせるのは間違っていると思うのですが、これも悪しき習慣(というか不動産屋の小銭稼ぎ)で入居者に強制している物件が多かったりします。
入居時に払っているのだから、退去時に鍵を失くしてしまっていても払う必要なんて無いでしょ!と思いきや普通に請求してくる業者がいるので要注意です。
入居時に鍵交換費を払って無いのであれば、契約時に渡された鍵を失くしたら交換費は請求します。
 
とまあ、よくあるケースとしてはこんなところですかね・・・。
ハイグレードなマンションはクロスやフローリングなんかも上質のものを使っている場合が有るので、要注意です。
 
僕が担当してる物件は内装業者の見積もりを確認して単価をチェックして、項目ごとに負担割合と根拠を記載したレポートを添付する場合が多いので、今の所クレームやトラブルにはなったことがありません。
ただ、完全に大家さんの仕切りで原状回復と清算をする物件もあるので、その場合は介入出来ない事も多いですね・・・。
 
ちなみに今回のブログにおける「原状回復」はあくまでも住居の場合で、事務所や店舗での契約の場合はこのガイドラインは全く通じませんからね。
経年劣化は一切考慮せず、退去時は明け渡し期日までに床・壁・天井の塗り替えや張り替えを全て借主の負担においてやって頂くというのが原則だったりします。
 
たまに事務所で契約しているにもかかわらず、「経年劣化だから原状回復義務なんて無えだろうがよお!!」などと息巻く輩がおりますが、そういう輩にはぐうの音も出ない程徹底的に論破します。
 
でも事務所の契約だとしても、良い入居者さんだった人には出来る限り費用を安く抑える様に大家さんや内装屋さんに交渉してあげたりもします。
 
補足ですが、裁判になると住居の借主は弱者という扱いになる為、救済措置として有利になることが多いです。
 
とまぁ、クソみたいな不動産屋だらけのクソみたいな世の中で、どうか善良な人達が損をする事無く、引っ越した後も胸張って気持ちよく挨拶できる関係で在りたいものです。
 
でもね、大家さんも大変なのよ。そこも分かってあげてね。
 


屁みたいな不動産屋の社長より。(クソよりはマシな程度です)